販売目的で海外から商品を輸入する際には関税と消費税の2種類の税金を支払う必要があります。
この関税と消費税の仕組みについて知っていますか?
仕組みを知っていれば確定申告の際に払いすぎた税金を取り戻すことができます。
本記事の内容
- 関税の仕組み
- 関税・消費税の計算方法
- 二重に支払う消費税とは
本記事では関税の仕組みと計算方法、確定申告の際に取り戻せる消費税について解説していきます。
Amazon輸入では海外から商品を仕入れるため、税関で必ず関税を納めなければいけません。
税関の仕組みは複雑で商品の種類や担当者の裁量によって税率が変わるため、確実な試算は難しくなります。
それでも仕組みを知って、どの程度の納税が必要になるのかを把握しておくことは継続的に稼ぐ上でも重要になります。
目次
Amazon輸入で支払う関税とは
Amazon輸入で海外から商品を仕入れると、商品を輸送する途中の税関で関税費用を納めなくてはいけません。
関税費用は商品の代金や輸送費を基準に計算され、納めなければ国内に持ち込むことができないため、納付を求められれば必ず納めなくてはいけません。
よく言われる関税では3つの税金を納税します。
税関で納める税金
- 関税
- 消費税
- 地方消費税
上記の3つをまとめて関税と言われています。
多くの場合は輸送会社が関税費用を立替て支払い、国際送料と関税費用を合算して支払いますが、「輸入許可通知書」を見れば明細情報を確認することができます。
個人利用目的で輸入する場合
個人利用目的で輸入した場合でも関税費用は発生します。
商用目的と異なり、個人の場合は関税費用が安く抑えられ課税対象額が1万円以下の場合には免税になります。
課税対象額1万円よりも大きい場合には、対象額の60%に関税率を掛けたものが関税費用になります。
あくまでも自分自身での利用を目的とした場合に限り選択できる項目で、販売目的で輸入する場合には一般税率が適用される点注意が必要です。
商用利用目的で輸入する場合
商用目的で商品を輸入する場合には、課税対象額の100%に関税率を掛けた計算方式で算出された金額が関税費用として請求されます。
輸送代行業者などを利用している場合、通関時に個人か商用かで目的を確認されますが、税率が下がるからと虚偽の申告などしないようにしましょう。
関税・消費税の計算方法
税関で支払う関税費用の計算はやや複雑です。
関税費用は輸入する商品の代金、購入国内での送料、日本への輸送量の合計金額を課税価格として計算が進められます。
そのため、海外から商品を輸入する場合にはインボイス(領収書)の存在が重要です。
インボイスがないと関税費用の計算ができないからです。輸送業者は発送前にインボイスから商品の代金、送料を転記する必要があるのですが、紛失したりすると書類作成が進められないので、発送ができないのです。
通関時に支払う税金
税関では3つの税金を納める必要があります。
関税費用の支払いが済まない場合は国内に商品を持ち込むことができません。
税関で支払う税金
- 関税
- 消費税
- 地方消費税
これらの税金は課税価格をもとに順番に計算することで算出できます。
商品代金 + 仕入れ国内送料 + 国際送料(1商品あたり) = 課税価格
課税価格をもとに計算した関税、消費税、地方消費税の全てを合計した金額が関税額です。
関税額の計算
関税額は課税価格に対して商品分類ごとに決められた税率を掛けることで算出できます。
- 商品A
仕入れ価格190,000円+輸送費10,000円=200,000円 - 商品B(メディア商品)
仕入れ価格1,850円+輸送費150円=2,000円
関税のかかる分類が多種多様なため関税額を正確に把握するのは難しいです。
税関の担当者のさじ加減で関税の料率が決まるため、場合によっては関税額が高くなる場合があります。
Amazon輸入でよく扱われる「おもちゃ・ホビー」「ゲーム・メディア商品」「家電製品」の多くは非課税のため関税費用は発生しません。
- 商品A
200,000円×0.1(税率10%)=20,000円 - 商品B
メディア商品は非課税=0円
商品分類の選択は、税関の担当者の判断に任せられるので場合によっては税率の高いものが選ばれることもあります。
消費税(国税)の計算
商品を輸入する際には消費税を納めなくてはいけません。
しかし、海外で仕入れを行なった際にも消費税を支払っている場合は二重に消費税を支払っている形になり、確定申告の際に控除を申告することができます。
消費税率の低い国で仕入れるケースを加味して、税関では海外仕入れと国内仕入れで、事業者の税負担のバランスを取るために輸入時には必ず消費税を支払わなければいけません。
消費税は国税である消費税と、地方消費税に2種が課税されトータルで10%になるように計算されます。
消費税の計算方法は、課税価格と関税費用を足して、千円以下を切り捨てた金額を元に計算します(消費税課税標準額)。順番として消費税(国税)を計算した後に地方消費税を計算するといった順番になります。
消費税が7.8%、地方消費税が2.2%でトータルすると10%になります。消費税、地方消費税共に百円以下の金額は切り捨てたものが課税されます。
- 商品A
仕入れ価格190,000円+輸送費10,000円=200,000円(消費税課税標準額)
200,000円×0.078=15,600円(15,600円の百円以下を切り捨て) - 商品B
2,000円(消費税課税標準額)
2,000円×0.078=100円(156円の百円以下を切り捨て)
外食・酒類を除く飲食料品に関しては軽減税率の8%が消費税になります。 消費税が6.24%と地方消費税が1.76%でトータル8%になっています。
地方消費税の計算
地方消費税は消費税を地方消費税課税基準額として計算します。
計算式は地方消費税課税基準額×22÷78。
- 商品A
15,600円×22÷78=4,400円(4,400円の百円以下を切り捨て) - 商品B
100円×22÷78=0(28円なので切り捨て)
輸入消費税は還付できる
商品輸入時に支払った消費税は確定申告の際に「課税貨物に係る消費税額」に記載し、納税額を抑えることができます。
消費税の確定申告の際に、正しく申告しないと消費税を払いすぎることになります。
払いすぎた消費税は申告から5年以内であれば更生の請求によって還付してもらえます。
輸入時に二重に消費税を納めている
輸入ビジネスの場合、仕入れ国と日本国内で二重に消費税を払います。
消費税負担の税率は国ごとに異なるため、国内流通商品とのバランスを取るために輸入時に消費税を納めます。
税関で納めた消費税は、消費税の確定申告の際に申告することで納税額を抑えることができますが、見落としがちなポイントではあります。
通関時に納めた消費税は還付できる
通関時に納めた消費税は還付という形で戻すことができます。
消費税の確定申告の項目の中に「課税貨物に係る消費税額」があり、税関で納税した消費税は丸々支払い済みの消費税として申告することができます。
輸入ビジネスの中でも見落としがちなポイントで、支払わなくても済むお金としては比較的高額になる部分なので注意するようにしましょう。